初夏の日川、ドライでの釣果

ここは日川の中流域。民宿脇の流れの下手にちょっとしたトロ場があって、過去に何度かよい思いをした? ことがあるポイントです。ここらで釣れてくれないかな…。ここんとこ不調続きだし、前々日に新調したロッドがゲンのよい1本になってほしいとの思いも交錯します。

焦っちゃいかんと自分に言い聞かせながら、右岸に横たわる大岩に身を寄せて流れを観察してみます。時には表層近くでエサを追うアマゴが見えることもあるのですが、残念ながら今日はその姿が確認できません。

どうしよう。まずはドライで様子を伺ってみるか、それとも最初からニンフを沈めてみるか…。そういえば前日の夕方にゲリラ豪雨があったらしい。ってことは、木々にいた虫たちが大量に流されて少しは活性が高まっている可能性もあるかな。そんな思いもあって、ボディにピーコックを巻いた半沈パラシュート(一応、テレストリアルパターンのつもり)の16番を結んでみることにしました。

立ち位置から9~10m先に沈み石が適度に入った穏やかな筋があって、出るならここ、ってな雰囲気を醸し出しています。ハックルにフロータントをスプレーし、ティペットの結び目などもチェックして準備万端。さーて、慎重にいきますよ。

身をかがめたまま、ゆっくりとキャスト…。珍しく狙った場所にフライを落とすことができました。泡の筋に乗って、その速度がやや衰え始めるポイントに差し掛かった時、斜め左下の岩陰から魚影が走るのが見えました。喰え!っと心で叫んだ瞬間、水面を漂うフライが静かに吸い込まれました。すぐにロッドを立てると…よし、小気味いい引きが手に伝わってきます。

底から浮いてきた時点で、そのサイズが小さいことは分かっておりました。でも、狙った場所から魚が出てフッキングできるのは嬉しいもんです。きっと顔もニヤついていたんじゃないかな。

上流に逃げようとするささやかな抵抗をしばし楽しみ(何てったって釣れたのが久しぶりなもんで)、頃合いを見計らって、これまで出番のなかったインスタネットをシャキーンと広げてランディングです。

近くに寄せようとする際、アマゴ特有のローリングがあるかと思っていたら…。ん? 何かちょっと様子が違いますよ!? さてはイワナか。魚体を足元近くでネットに収めようとする刹那、それまでが“ぬか喜び”であった事実に直面しました。

何とそれは「ウグイ」だったのであります。脳裏にはアマゴの鮮やかな朱点がよぎっていたのに、眼前に横たわるそれは、地味なボディにおちょぼ口をパクパクさせた“ウ~さん”。なんだよ、もう。

いやいや、ウグイだって立派な渓魚だし、簡単には釣れるもんじゃないですよ。あの小さな口に喰わせるなんぞ、ナチュラルドリフトができた証左じゃないのなどと自分に言い聞かせても、複雑な心境は拭えません。

かくして曇った心に連動するかのように、それまで晴れていた空に雲が立ち込め始める始末。冴えどころのない我が釣りは、まだまだ続いているのでありました。

久々にドライで釣れたのはウグイなのでありました

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です